近年は、出荷調整の件数もだんだんと増えてきていますが、
個々の医薬品の出荷調整状況はメーカーのサイトを探してもなかなか出てこないので時間がかかります。
しかし、ほとんどの薬剤師は出荷調整の確認に時間を取れないので
みんなの頭痛のタネになっています
そんな悩みを解決するために、実際に現場で働く薬剤師が出荷調整の対応方法を共有していこうと思います。
この記事を読めば、
- 現時点での出荷調整の確認ができる
- 最速の出荷状況の確認方法がわかる
- 出荷調整の薬に当たった時に対応できる
などのメリットがあります
空いた時間で薬歴を消化し、定時で帰れる薬剤師を目指して!
早速内容にに入っていきます
出荷調整の状況を確認できるサイト2選+α
まず、出荷調整の最新状況を確認するために必要なサイトは、
DSJP(医療用医薬品供給状況データベース)と、厚労省の医療用医薬品供給状況報告
の2つです
特に最初に紹介するDSJPは網羅性に優れていて、
ほとんどの医薬品の出荷調整状況がすぐにわかるので重宝しています
では順番に解説していきます
DSJP(医療用医薬品供給状況データベース)
最初に紹介するのはDSJPです
以下サイトのリンクです
DSJPは医薬品を入力して検索するだけで、
「通常出荷」「限定出荷」「出荷停止」「販売移管」
などの情報が一覧で出るので非常に視認性が良いです。
限定出荷の場合は、メーカーからのお知らせのページも同時に確認できるので、
医師への情報提供もスムーズに行うことができます。
おすすめの使い方としては、
「後発医薬品名」
で調べれば各種メーカーが一覧で表示されるので、代替のメーカーを探すときに重宝します。
1回ずつ卸さんに確認する手間が省けるので、かなりの時短になります
使用法の具体例:
「クエン酸第一鉄50mgサワイ」が出荷調整なので、
「クエン酸第一鉄50mg」で検索、
メーカーを一覧で見てみると「ツルハラ」が通常出荷であることがわかる
→卸へ質問するときに「ツルハラの在庫数は?」「入荷量は減少傾向じゃない?」など
具体的な話をすぐにすることができる

厚労省 医療用医薬品供給状況報告
次に紹介するのは厚生労働省が公開している医療用医薬品供給状況報告です
こちらはDSJPと違い、国が公開している情報なので、信ぴょう性の高いことが強みです。
以下サイトのリンクです
このサイトのデメリットは、Excelでよく使う.xlsx形式なのでスマホでは少し使い勝手が悪いです。(別途アプリが必要)
パソコンで発注の際に使うのであれば良いですが、すぐに情報が必要なときにはあまり適していません。
〜番外編〜 X(旧:Twitter)
番外編として、X(旧:Twitter)も情報源として優れています
こちらは、出荷の状況を即時に把握するアカウントがあるわけではありませんが現場の薬剤師の声がすぐに反映されるので、メーカーに聞くよりも実情がすぐにわかります。
筆者は、Xのアルゴリズムの特性(リアクション履歴に基づく表示最適化)を活用して、
出荷調整情報のみを効率的に収集する専用アカウントを運用しています。
以下は筆者がよく見る情報の一部です。
薬が不足した時に絶対にやるべき選択/やってはいけない選択
ではここからは、実際に出荷調整の薬が処方されたときにどのように対応するのが良いかについて一例を紹介していきます
絶対やってほしい選択
一番大事な選択肢はまず、患者に状況を説明するということです。
- 出荷調整ですぐに手に入らない
- 代替を提案するにも時間がかかる
- 用意できるものと出来ないものの
などを説明してみると、患者側に選択肢が生まれます。
- 急いでいるので、無いなら別のところに行きたい
- 時間がかかるだけなら一度家に帰りたい
- できれば医師の指示通りに欲しいけど、薬剤師の意見が聞きたい
患者によって希望は様々です。
不足薬の手配に時間をかける前に、話をすることで
薬剤師側、患者側、双方が納得のいく結論が出やすいです
絶対にやってはいけない選択
絶対にやってはいけないのは、
「受付をして処理した後にやはり手配がつきませんでした」
です。
これはフォローのしようがないので、絶対にしてはいけません。ほとんどの薬局ではこれが起きる可能性は少ないですが
- 出荷状況を把握していない
- 欠品していることに気づかない
- 数が揃わない段階で卸に確認しない
などが重なるとおきます。
不足があれば、必ず入荷するかどうか、次回の入荷予定を把握しておきましょう
それが難しければやはりDSJPなどのツールを使って、事前に把握するクセをつけるべきですね
出荷調整の対応事例
パターン1:抗菌薬の出荷調整
オーグメンチン配合錠250RS 3錠毎食後 7日分の処方
患者希望:時間がかかってもいいので、代替を探して欲しい
完全な代替はないが、軽度の扁桃炎のため
サワシリンカプセル250mg 3cap毎食後 7日分
に変更
その後症状軽快のため追加の投薬なし
パターン2:カリウム製剤の出荷調整
アスパラカリウム錠300mg 2錠朝夕食後 28日分
患者希望:同じ量になればなんでも良い、できればこれ以上粒の大きくない薬が良い
同成分の散剤も出荷調整のため、代替として塩化カリウム、グルコン酸カリウムが候補
錠剤の大きさが気になるため、今回はグルコン酸カリウム細粒を選択
カリウム製剤は単純にmEqで比較するのはNGなので、計算した結果
アスパラカリウム錠300mg2錠=グルコン酸カリウム細粒2.25g
(参考サイト:yakutaku.com)
グルコン酸カリウム細粒が1g包装のためひとまず2g 朝夕食後に変更して経過観察
なぜ薬が足りない状況が改善しないのか?
では社会現象レベルに騒がれている出荷調整が、
コロナが終息した後もなおずっと改善しないままなのか?
答えは大きく分けて2つです
- 医薬品の多剤混入を契機に医薬品の検査が厳格化されたこと
- 薬価が低下と材料費の高騰のダブルパンチでコストの方が高い
順番に解説していきます
医薬品の他剤混入で検査がより厳しく
2022年にイトラコナゾールの錠剤に、トリアゾラムの成分が混入する事件が起きました
https://www.mhlw.go.jp/content/10807000/000919956.pdfこれを契機に、検査が正しく行われていないことが各製薬メーカーで発覚し、次々に業務停止処分になりました。
その間薬の供給が止まり、出荷調整へ
医薬品の製造業界は建て直す体力や資金力がなく、かなりの時間をかけて復帰するため出荷調整が長引く原因になりました。
薬価が下がりすぎて、コストの方が高く
インフレなどの要因により、海外からの原薬の仕入れコストが上昇。
一方で日本国内では薬価改定ごとに価格が低下し、
コストは上昇
利益は低下
という負のスパイラルに陥りました。
医薬品を作る会社は株式会社なので、利益にならない不採算の品目は、
「製造を中止したまま再開をしない」という判断をする会社も出てきました。
この状況は2026年現在も改善の見通しが立っていません。
薬が手配できないのは”環境”が全て
薬の手配がうまくいかないのは決して薬剤師個人の問題ではありません。
SNSなどで見かける
「⚪︎⚪︎⚪︎錠」出荷調整だけど、僕の腕がいいので1000錠確保できました!
のような意見は
現場単位のミクロの視点では正解かもしれませんが、
日本全体で見るマクロの視点では不正解です。
無理に集めた薬は、どこか別の患者、薬局にシワ寄せが行きます。
医薬品は限りある医療資源なので公平に分配することが望ましいです。
出荷調整の問題は日本全体で考えるべき内容です
手配ができない=仕事ができないではありません
大事なのは納得して医療を受け取れる体制を整えることです
ただ、中には患者の理解が得られなかったり、上層部が確保できないことに対して叱責やペナルティを設けるところもあるでしょう。
ここまで記事を読んでくれたあなたは、絶対に出荷調整をどうにかしようという意思があります。
ここに至る努力を評価してくれない会社に在籍するのは長期的にはリスクかもしれません
そういった時は”環境”がよくないので思い切って職場を変えるというのも手です
- 忙しくて探す時間がとれない
- 1人で条件を確認したり交渉する自信がない
- なるべく良い条件で転職したい
と思う方にオススメのサービスがあります
こちらの転職支援サイトでは、単純に登録して仕事を探すのではなく、専任のエージェントが個別に着いて転職をサポートしてくれます。
追い詰められる前に一度自分の市場価値を見出してもらうことをオススメします!

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